その土地の旅を楽しむためには、まず行先の異文化を知ることから。というわけで、旅を楽しむための異文化を知ってもらうシリーズ。
今回は、中国の現地事情についてご紹介します。
部屋にビールグラスがない!!
それは、中国の湖南省にある武陵源・鳳凰古城を巡るツアーでのこと。
武陵源という場所は、映画「アバター」のモデルになった場所ともいわれ、世界遺産にも登録されています。岩山の絶景が素晴らしく「アジアのグランドキャニオン」なんていわれることもあるところです。
鳳凰古城は、中国一美しい古城として世界遺産登録を目指しています。日中観光も良いですが、夜にはライトアップされた幻想的な世界が広がります。ベトナムのホイアンや、台湾の九份に心を奪われたという方はきっと満足いただけるところだと思うので、まだ行ったことがないという方はぜひ訪れてみてください。
そんな自然の絶景なので、当然、移動時間も長くなります。鳳凰古城の観光がツアー後半に設定されていたこともあり、その頃にはお客様の疲れもピークに。
ある夜、せめて寝る前に冷たいビールを一杯飲んでから眠ろうとしたお客様がいました。
すると、部屋にビールグラスがないと添乗員の部屋に連絡がきます。
「売店で買ってきたビールを飲みたいけれど、グラスがないんです」とのこと。冷たいグラスでグっと一杯が、何よりの楽しみだったようで、「できれば冷たいグラスがほしい」とのリクエストでした。
その旨を添乗員がスタッフに依頼するも、いつまでたっても届きません。
仕方なくフロントまで取りに行きましたが、ビール用の冷たいグラス…とはいかず、がっかり。
それなりにいいホテルであったのに、「冷えたグラスも用意されていない」と、そのお客様にとってあまりよくない印象になってしまいました。
そもそも中国では、冷たい飲み物はNG
実は、中国では東洋医学的な考えから「体を冷やすのは健康によくない」という考えが昔から定着しています。飲み物も白湯や温かいお茶を飲みのが普通、ビールも常温が当たり前です。
そのため、日本のようにキンキンに冷えたビールを飲む!という習慣はありません。
実際に冷たいものを飲んだり食べたりすると、すぐにお腹を壊してしまう中国人もいるのだとか。
もちろん、中国の人が冷たいものを全く飲まない・食べないわけではないですが、「身体に良くない」ということはわかっていながら、飲んだり食べたりしているということ。
日本に来る多くの中国人観光客の方が、日本の魔法瓶を絶賛して買っていくのもこの習慣があるから。本の魔法瓶はクオリティがいいと支持されていて、人気のお土産品のひとつなのです!
中国で「冷えたグラスに冷えたビール」はあり得ない!
日本人の感覚で言えば、喉か乾いたときに冷たいビールを飲むのは当たり前でおいしいものですよね。
ただ中国では、冷えたビール、さらには冷えたグラスで飲むのはあり得ないこと(笑)。現地の人にしてみれば、そんな健康に良くないことをするなんて・・という感覚なのです。
そのため、ホテルのランクがいいから当たり前にビール用のグラスがある、冷えたグラスも用意してくれる訳ではありません。北京オリンピック以降、外国人相手にしているホテルでは、こうした文化の違いは認識していますが、すべてが対応できるように準備しているというわけではありません。特に古いホテルの冷蔵庫だと、温度も低く設定されていないどころか、コンセントが抜けていることもあります。
冷えたビールを飲むためのチェック事項!
それでもどうしても冷たいビールや飲み物が飲みたい!と思ったら、事前にチェックしておくのがおすすめです。
まずホテルの部屋に入って冷蔵庫があったら、電源が入っているか&温度設定が弱くなっていないか確認しましょう。
そして、冷えたビールが飲みたい場合は、売店などで冷えている缶ビールを買って、そのまま飲みましょう。
現地の当たり前を知って、旅を楽しく!
もし売っていなかったり、用意してもらえなかったら…もうそこは中国の現地流にのるのが一番です。
現地の人にならって、常温のビールや温かい飲み物だけで過ごしてみると、意外と体調が良くなって、旅が快適に過ごせるかもしれませんよ!