旅行好きな方ならよく耳にされるであろう添乗員（ツアーコンダクター）とガイド。
どちらもなんとなく「旅行を案内してくれる人」という同じようなイメージかもしれません。ですが実は、添乗員とガイドには大きな役割の違いがあるんです。
添乗員（ツアーコンダクター）とは？
まず、添乗員（ツアーコンダクター）とは、旅行会社が企画する旅行（パッケージツアーや団体旅行、企業主催の社員旅行など）に同行して、その旅のスケジュール通りに滞りなく、安全に進むように調整、管理する人のことです。
まさに、この「旅添」を運営している中心メンバーである私達のこと。
ツアー旅行は、観光する場所や交通手段、ホテルなどが、スケジュールがいろいろと決まっています。そのスケジュール通りに、旅行が進むように、調整＝コーディネートしていくのが、添乗員の仕事です。
チケットや交通手段はしっかり手配されているか、その施設へ時間通りに到着できるか、ガイドさんとはどこで会うのか、宿泊施設が予定通り用意されているかなど、現地で関係各所と連絡を取り合って進めていきます。
また一般的には、日本を出国時から帰国するまで旅に同行します。
添乗員は、「旅程管理主任者」という資格が必要です。これは独学では取れず、資格取得研修を行っている会社や団体などで受講して取得します。
ちなみに、旅行を販売する際に必要となる「旅行業務取扱管理者」という国家資格がありますが、それとは大きく異なる資格です。
ガイド（ツアーガイド）とは？
一方の旅行における「ガイド」は、さまざまな旅先の観光スポットの歴史や文化などを勉強し、案内する人のこと。国や地域、施設によって、それぞれ必要な資格は変わってきます。
その場所や施設についての専門的な知識やスキルがある人にしかガイドのライセンスを発行していない国などでは、ガイドの案内や付き添いがないと観光できない場所も多くあります。
また当然、現地の国の人である場合も多いので、日本語が話せないというケースもよくあります。
海外では添乗員とガイドの違いが明確
こんな風に、添乗員はツアー全体の運営やサポート、ガイドさんは観光地の専門家、といった違いがあります。
添乗員はガイドほどの専門知識はないにしても、旅をより楽しく過ごしてもらうために、現地の観光情報などをお話することも多いのですが、実はこれについてはヨーロッパでは規制がかなり厳しくなっています。
その国の資格を持った人しかガイドと名乗ってはいけないことはもちろん、それ以外の人は案内する＝ガイディング行為すら禁止されています。もし見つかってしまうと、罰金を取られたり、最悪EU圏の入国を禁止されたりしてしまうんです。
そのため、添乗員はよく目の敵にされています（笑）。
現地の警察なども、ツアー客には目をつけているんです。
ただ集合場所を伝えているだけ、全く別の話をしているだけなのに、その様子だけで「ガイディング行為をしている」とみなして、捕まえようとしてきます。現地の人の多くは日本語がわからないので、それがガイド的なことを話しているのか、そうでないのかが区別がつかないというのも理由。どんなに説明してもムダで、相手にしてくれず、高額な罰金を徴収された、という添乗員もこれまでにたくさんいるのです。
現地の仕事、正しい歴史や文化を守るために規制している
なぜそんなに厳しいのか？その理由は、現地の仕事＝雇用を守るためと、正しい歴史や文化を伝承するという意識からだと思います。
特にイタリアやフランスなどは、世界でも有数の観光大国、観光業が国の重要な収入源です。
もし、外部の人間である添乗員がガイディングに近いことまでしてしまうと、現地のガイドさんは必要なくなってしまいます。つまり、現地の人の仕事＝雇用を奪うことになってしまうのです。
また、ヨーロッパは歴史や文化を大切に考えている国も多くあります。知識やスキルが認められてライセンスを持っている人ではない素人が案内したら、間違った情報を伝えてしまうかもしれません。
そんな理由から、海外では日本以上に厳しいルールを設けているのだと思います。
文化や歴史・現地情報はガイドさん、旅全体のコーディネートは添乗員
現地の文化や歴史の専門家がガイドさん、旅全体をスケジュール通りにスムーズに進めていくのが添乗員。
これからの旅で、より詳しい観光地の情報はガイドさんの経験や知識を思いっきり聞き出してみてください。
それ以外の悩みや気になること、旅全体で知っておきたいことなどは添乗員、そんな形で使分けてもらえると、よりスムーズで、実りある旅になること間違いなしです。
